2021/1/19

介護施設、居住系サービスにおける居室数推移

結果の概要

過去の介護施設、居住系サービスにおける居室数推移の年間平均増加率から2025年の居室数推計値を独自に計算した。
過去6年間の介護施設、居住系サービスにおける居室数の増加率を見ると介護施設に比べ、居住系サービスの増加率が高かった。2025年にかけても介護施設に比べ、居住系サービスの増加率が高くなるものと推測される

 

調査トピックス

  1. 介護施設、居住系サービスにおける2014年から2019年までの6年間の居室数推移において、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームの居室数が増加している。
    2014年から2019年までの期間において、年間平均増加率を集計すると、サービス付き高齢者向け住宅については109.4%となっており、有料老人ホームは109.0%となっている。一方、介護療養型医療施設については、2024年3月末までに介護医療院への移行していくこともあり、87.4%と減少傾向となっていた。
  2. 介護施設、居住系サービスにおける2014年から2019年までの6年間の居室数推移を参考に2025年の推計値を算出したところ、サービス付き高齢者向け住宅は171.5%の増加率になると考えられ424,780床に、有料ホームは168.1%の増加率になると考えられ1,012,645床となることが見込まれ、今後も増加していくものと考えられる。一方、養護老人ホームは微減となり、介護療養型医療施設については大幅に減少する見込みとなっている。

 

調査概要

  • 調査名:介護施設、居住系サービスにおける居室数推移について
  • 参考文献:厚生労働省 令和元年 社会保障審議会 介護保険部会(第81回)参考資料P8
  • 集計に関する補足(参考資料の元資料の注釈から最新の発表数値を反映)
    ※1:介護保険3施設及び認知症高齢者グループホームは、「介護サービス施設・事業所調査(10/1時点)【H12・H13】」、「介護給付費等実態調査(10月審査分)【H14~ H29】」及び「介護給付費等実態統計(10月審査分)【H30~令和元年】」による。
    ※2:介護老人福祉施設は、介護福祉施設サービスと地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を合算したもの。
    ※3:認知症高齢者グループホームは、H12~H16は痴呆対応型共同生活介護、H17~は認知症対応型共同生活介護により表示。(短期利用を除く)
    ※4:養護老人ホーム・軽費老人ホームは、「社会福祉施設等調査(令和元年10/1時点)」による。ただし、H21~H23は調査票の回収率から算出した推計値であり、H24~H29は基本票の数値。 (利用者数ではなく定員数)
    ※5:有料老人ホームは、厚生労働省老健局の調査結果による。 (利用者数ではなく定員数)令和元年については未発表のため、過去の5か年伸長率からの推計値で算出
    ※6:サービス付き高齢者向け住宅は、「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム(令和元年9/30時点)」による。 (利用者数ではなく登録戸数)
  • 調査方法:上記集計に関する補足をもとに2025年の居室数見込みを独自に算出

所長の一言

2014年から2019年までの過去6年間の介護施設、居住系サービスにおける居室数の年間平均増加率をもとに2025年における居室数の推計値を算出したところ、居住系施設であるサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームが今後も一定増加するものと推測された。
第8期介護保険事業計画におけるサービス量等の見込みが2021年4月に発信される予定であるが、今回集計の推計値と比較をして、どの施設が不足しそうなのか、またどの施設を重点的に整備すべきなのか引き続き注視をしていきたい。
令和元年の高齢社会白書を確認すると、60歳以上の人の約半数の50%以上が、最後を迎えたい場所が「自宅」という回答となっているが、厚生統計要覧(令和元年度)を確認すると病院で最期を迎える割合が72%と高水準となっている。
今後、居住系サービスについて居室数が増加する中、看取りなどの対応ができるようになることを含め、一層サービス面における取組みについて進めていくことも重要な要素になると考えられる。

調査詳細

1.2014年から2019年の年間平均増加率から計算した2025年の介護施設・居住系サービス居室数見込み

 

研究員

松野 雄太

所長

松野 雄太

2003年大手在宅系介護事業会社入社。日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。 2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。

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