(続)介護現場の革新(生産性の向上)に関する調査
この記事は2021年7月10日にリリースした「介護現場の革新(生産性の向上)に関する調査」の続きとなります。
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2020年9月~10月にかけて介護事業所の業務時間の不足及び現状費やしている業務時間に関する調査を実施した。
1ヶ月の業務を通して、最も多くの時間を費やしているのは、利用者に対する直接的なケアとなっており、6割弱の回答者が最も多くの時間を費やしている結果となった。
また、1ヶ月の就労時間のうち5割(80時間)以上を利用者に対する直接的なケアに費やしていると回答した回答者が6割弱となっており、介護(看護)事業所での利用者に対するケアに占める時間の割合が非常に高い結果となった。
個別の業務ごとに時間が不足しているかについて質問をしたところ、全般的に費やせる時間が不足しているという回答が多く、介護事業所における業務分担の見直しや業務効率化が課題であるということが浮き彫りとなる結果になった。
1.「1ヶ月の業務を通して、最も多くの時間を費やしているのはどのような業務になりますか」という質問に対し「利用者に対する直接的なケア(59.6%)」となっており、全回答者の6割弱が、最も多くの時間を費やしている結果となった。次いで「介護(看護)記録の記入や実績の確認、請求業務(13.9%)」と割合として多い状況であった。
2.「介護の現場において、利用者に対する直接的なケアを行う時間が不足していると感じますか」という質問に対し、「はい(67.8%)」となっており利用者に対する直接的なケアの時間が不足していると感じてる回答者が7割弱であった。
また、「介護の現場において、利用者に対する直接的なケアを行う時間が不足していると感じますか」という質問に対し「はい」と答えた回答者に対し、「実際に利用者に対する直接的なケアを行っている時間は1ヶ月の勤務時間(160時間)のうち何割程度ですか」という質問をしたところ、5割(80時間)以上という回答が、全回答者の6割弱という状況であった。利用者に対する直接的なケアの時間をさらに増やしたいと考えている結果となった。
3.介護の現場において、「利用者の介護(看護)計画の立案や立案のためのアセスメント、モニタリングに要する時間が不足していると思いますか」という質問に対し「はい(78.4%)」となっており、8割弱の回答者が不足していると感じている状況であった。利用者に対する直接的なケアよりも時間が不足していると感じている割合が多い状況であった。
また、「介護の現場において、利用者の介護(看護)計画の立案や立案のためのアセスメント、モニタリングに要する時間が不足していると思いますか」の質問に「はい」と回答した回答者に対し、「介護の現場において、介護(看護)計画の立案や、立案のためのアセスメント、モニタリングに要する時間は1ヶ月の勤務時間(160時間)のうち何割程度ですか」と質問したところ2割(32時間)以内が7割弱となっており、あまり多くの時間を費やせていない様子が伺えた。
4.介護の現場において、「介護(看護)記録の記入や実績の確認、請求業務に要する時間が不足していると思いますか」という質問に対し、「はい(70.7%)」となっており7割程度の回答者が、時間が不足していると感じている状況となった。
また、「介護の現場において、介護(看護)記録の記入や実績の確認、請求業務に要する時間が不足していると思いますか」という質問に対し、「はい」と答えた回答者に対し、「介護の現場において、介護(看護)記録の記入や実績の確認、請求業務に要する時間は1ヶ月の勤務時間(160時間)のうち何割程度ですか」と質問したところ、2割(32時間)以内という回答者が7割弱という状況であった。介護(看護)記録の記入や実績の確認、請求業務についてもより多くの時間を費やしたいという結果となった。
5.介護の現場において、「介護(看護)職員のスケジュール調整や利用者のスケジュール立案のための連絡調整の時間が不足していると感じますか」という質問に対し、「はい(69.2%)」と7割弱の回答者が不足していると感じている状況となった。
「介護の現場において、介護(看護)職員のスケジュール調整や利用者のスケジュール立案のための連絡調整の時間が不足していると感じますか」という質問に対し「はい」と回答した回答者に対し、「介護の現場において、介護(看護)職員のスケジュール調整や利用者のスケジュール立案のための連絡調整に要する時間は1ヶ月の勤務時間(160時間)のうち何割程度ですか」と質問したところ、2割(32時間)以内が75%を超える状況であった。
6.「介護の現場において、他の職種(医療職やケアマネジャー)との連絡調整、担当者会議やケースカンファレンスの時間が不足していると感じますか」という質問に対し、「はい(67.8%)」と7割弱の回答者が不足していると感じている状況であった。
また、「介護の現場において、他の職種(医療職やケアマネジャー)との連絡調整、担当者会議やケースカンファレンスの時間が不足していると感じますか」という質問に対し「はい」と回答した回答者に対し、「介護の現場において、他の職種(医療職やケアマネジャー)との連絡調整、担当者会議やケースカンファレンスに要する時間は1ヶ月の勤務時間(160時間)のうち何割程度ですか」と質問したところ、1割(16時間)以内と回答した回答者が8割を超える状況であった。
7.「介護の現場において、下記のうち、どの業務により多くの時間を費やすことが必要であると感じていますか」という質問に対し「利用者に対する直接的なケア(66.8%)」が最も多く、次いで、「介護(看護)計画の立案や計画立案のためのアセスメント(9.6%)」、「利用者獲得のためのケアマネジャーや病院への営業活動(7.2%)」、「介護(看護)職員のスキル向上のための研修(7.2%)」となっており、全回答の9割を超える状況であった。
8.「今より多くの時間を費やす必要があると感じているにも関わらず、実際に費やすことが出来ていない理由はどのような理由になりますか」という質問に対し「利用者に対する直接的なケアでほとんどの時間を割いているため(50.0%)」と最も回答が多く、次いで、「計画書については印鑑の押印なども含め対面でないと実施できず作業に時間がかかるため(31.7%)」となっており、利用者に対する直接的なケアの時間に多くの時間を費やしており、必要だと思ってもその他の業務に費やす時間が捻出できないという回答が多かった。
また、計画書などの印鑑の押印に関しても対面でないと実施できないため作業に時間がかかっているという回答も多く、ICT等を活用して業務効率化を行うことで、本来必要だと考える業務に時間を費やすことが可能になると考えられる。
9.「新型コロナの影響により、いままでより時間がかかるようになった業務はありますか」という質問に対し「はい(67.3%)」となっており、全体の7割弱の事業所で時間がかかる業務が発生している状況であった。
10.「感染予防対策などを含めどの業務に時間がかかるようになりましたか」という質問に対し「利用者に対する直接的なケア(55.7%)」となっており、次いで利用者獲得のためのケアマネジャーや病院への営業活動(8.6%)という状況となった。利用者のケアに際し、感染予防対策に要する時間が増加しているものと考えられる。
また、ケアマネジャーや病院への営業活動時においても、感染予防対策に要する時間が増加しているものと考えられ、業務時間の増加につながっているものと考えられる。
所長
2003年大手在宅系介護事業会社入社。日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。 2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。