(続)介護現場の革新(生産性の向上)に関する調査
この記事は2021年7月10日にリリースした「介護現場の革新(生産性の向上)に関する調査」の続きとなります。
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高齢社会ラボでは、2021年度介護報酬改定において「介護現場の革新」が喫緊・重要な課題として掲げられたことを受け、半年に一度、介護現場の革新がどのように進んでいるのかを調査することといたしました。今回はその第1回調査となります。
この半年間で、仕事上の変化のなかった回答者は、現・経営者で8割弱、現・経営者以外で約7割でした。
現在の賃金水準に満足している現・経営者の回答者、現在の賃金に満足している現・経営者以外の回答者は、ともに6割弱でした。
この半年間における賃金水準の変化について現・経営者に尋ねると、4割弱が上昇した、5割強が変化なし、約1割が下降したと回答しました。その要因として最も多かった回答は、上昇・下降ともに、利用者数の変化でした。
この半年間における賃金の変化について現・経営者以外に尋ねると、約3割が増えた、約6割が変化なし、約1割が減ったと回答しました。賃金増加の要因として最も多かった回答は基本給の変化で、賃金減少の要因として最も多かった回答は転職でした。
調査名:介護現場の革新(生産性の向上)に関する繰り返し調査(2021年2月実施)
調査対象:カイポケリサーチ
対象サービス種別:居宅介護支援、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション
調査期間:2021年5月15日~6月10日
調査方法:インターネット調査
有効回答数:389件(うち、経営者:231件、59.3%)
1. 「あなたの現在の役職・役割はなんですか?」(「経営者」「経営者以外」のいずれか1つを選択)という設問において、「経営者」と回答した者を「現・経営者」群(n=282)、「経営者以外」と回答した者を「現・経営者以外」群(n=107)と分けた。
2. 仕事上の変化によって回答者群を設定した。
3.なお、以下の設問のうち半年前から現在までの変化を問うものについては、すべて「半年前に現在と異なる仕事や役割に就いていた場合には、半年前に就いていた仕事や役割における賃金と現在の賃金を比較して、ご回答ください。」という条件をつけている。
4. 「現・経営者」群(n=282)のうち、「仕事上の変化なし」群に属する者は、77.7%(219件)で、「役職のみ変化」群に属する者は12.8%(36件)だった。
5. 「現・経営者」群(n=282)に対して「現在、あなたはあなたの経営する事業所の賃金水準に満足していますか?」と尋ねたところ、6割弱がポジティブな回答を示した。(下のグラフでは、選択肢のうち「非常に満足している」「満足している」「どちらかといえば満足している」を「はい」として、「どちらかといえば満足していない」「満足していない」「非常に満足していない」を「いいえ」としてまとめている。)
6. 「現・経営者」群のうち「仕事上の変化なし」群または「役職のみ変化」群に属する者(n=255)に対して「半年前と比較して、あなたの経営する事業所の賃金水準はどのように変化しましたか?」と尋ねたところ、4割弱が「上昇した」、5割強が「変わらない」、約1割が「下降した」と回答した。(ただし、選択肢のうち「大きく上昇した」「上昇した」を「上昇した」として、「下降した」「大きく下降した」を「下降した」としてまとめ、「変わらない」はそのまま「変わらない」と表示している。)
7. 「現・経営者」群のうち、5. に記した設問において「大きく上昇した」「上昇した」と回答した者(n=97)に対して「賃金水準の変化の要因はなんですか?(複数回答可)」と尋ねたところ、「利用者の数が変化した」を選択した者が群を抜いて多く(1位、70.6%、67件)、「職員の数が変化した」(2位、23.5%、22件)と「報酬加算・減算の取得状況が変わった」(3位、20.0%、20件)がそれに次いだ。
8. 「現・経営者」群のうち、5. に記した設問において「大きく下降した」「下降した」と回答した者(n=24)に対して「賃金水準の変化の要因はなんですか?(複数回答可)」と尋ねたところ、「利用者の数が変化した」を選択した者が群を抜いて多く(1位、82.4%、17件)、「報酬加算・減算の取得状況が変わった」(2位、23.5%、5件)がそれに次いだ。
9.「現・経営者以外」群(n=107)のうち、「仕事上の変化なし」群に属する者は、70.1%(75件)で、「役職のみ変化」群に属する者は14.0%(15件)だった。
10.「現・経営者以外」群(n=107)に対して「現在、あなたは自身の賃金に満足していますか?」と尋ねたところ、6割弱がポジティブな回答を示した。(下のグラフでは、選択肢のうち「非常に満足している」「満足している」「どちらかといえば満足している」を「はい」として、「どちらかといえば満足していない」「満足していない」「非常に満足していない」を「いいえ」としてまとめている。)
11. 「現・経営者以外」群(n=107)に対して「半年前と比較して、あなたの賃金はどのように変化しましたか?」と尋ねたところ、約3割が「増えた」、約6割が「変わらない」、約1割が「減った」と回答した。(ただし、選択肢のうち「非常に増えた」「増えた」を「増えた」として、「減った」「非常に減った」を「下降した」としてまとめ、「変わらない」はそのまま「変わらない」と表示している。)
12. 「現・経営者以外」群のうち、10. に記した設問において「非常に増えた」「増えた」と回答した者(n=31)に対して「賃金の変化の要因はなんですか?(複数回答可)」と尋ねたところ、「基本給が変わった」を選択した者が群を抜いて多かった(1位、51.6%、16件)。
13.「現・経営者以外」群のうち、10. に記した設問において「非常に減った」「減った」と回答した者(n=12)に対して「賃金の変化の要因はなんですか?(複数回答可)」と尋ねたところ、「転職した」(1位、50.0%、6件)、「職場の経営状況が変わった」(2位、41.7%、5件)を選択した者が群を抜いて多かった。
研究員
東京大学大学院博士課程 単位取得後満期退学。日本学術振興会 特別研究員(DC1)、Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg 客員研究員、神奈川工科大学および神奈川社会福祉専門学校 非常勤講師を歴任。2021年、(株)エス・エム・エスに入社。介護事業者向け事業の経営企画に携わりながら、高齢社会に関する統計調査の設計・実行・分析・発信に従事。社会調査士。