2023/1/30

第4回介護現場の革新(生産性向上)に関する調査(賃金編)

結果の概要

高齢社会ラボでは、2021年度介護報酬改定において「介護現場の革新」が喫緊・重要な課題として掲げられたことを受け、半年に一度、介護現場の革新がどのように進んでいるのかを調査しています。今回はその第4回調査となります。

経営者の賃金水準に対する満足度、経営者以外の自分の賃金に対する満足度は、どちらも前回調査と比較して低くなっていました。その要因として、この半年間では賃金水準の上昇および賃金の増加が前回調査と比較して乏しいことが考えられます。

 

調査概要

  • 調査名:介護現場の革新(生産性向上)に関する調査
    • 第1回調査:2021年5月実施(調査期間:2021年5月15日~6月10日)
    • 第2回調査:2021年11月実施(調査期間:2021年11月15日~12月10日)
    • 第3回調査:2022年5月実施(調査期間:2022年5月15日~6月15日)
    • 第4回調査:2022年11月実施(調査期間:2022年11月17日~12月15日)
  • 調査方法:カイポケリサーチ(カイポケ会員を対象とするインターネット調査)
  • 対象サービス種別:居宅介護支援、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション
  • 有効回答数
    • 第1回調査:389件
    • 第2回調査:351件
    • 第3回調査:326件
    • 第4回調査:264件

 

調査詳細

【回答者群の設定】

1. 「あなたの現在の役職・役割はなんですか?」(「経営者」「経営者以外」のいずれか1つを選択)という設問において、「経営者」と回答した者を「現経営者群」、「経営者以外」と回答した者を「現経営者以外群」と分けた。

 

【基礎調査】

2. 調査時点より前の半年間における仕事上の変化を尋ねた。

2-1. 現回答者群では、前回調査と比較して、「変化なし」の割合は4.2%減少、「役職のみ変化」の割合は4.6%増加、その他の割合は0.4%減少していた。

2-2. 現経営者以外群では、前回調査と比較して、「変化なし」の割合は0.5%減少、「役職のみ変化」の割合は4.7%減少、その他の割合は5.2%増加していた。

なお、「その他」には以下のケースが含まれる。:①勤務する事業所の変化、②働く業界の変化、③就職、④その他

 

【賃金水準/賃金の満足度に関する調査】

3. 現経営者群に対して「現在、あなたはあなたの経営する事業所の賃金水準に満足していますか?」と尋ねたところ、前回調査と比較して、「満足している」の割合が3.7%減少していた。

4. 現経営者以外群に対して「現在、あなたは自身の賃金に満足していますか?」と尋ねたところ、前回調査と比較して、「満足している」の割合が6.4%減少していた。

なお、「満足している」は各設問における「非常に満足している」「満足している」「どちらかといえば満足している」という回答の合計を、「満足していない」は各設問における「どちらかといえば満足していない」「満足していない」「非常に満足していない」という回答の合計を意味する。

 

【(現経営者群)賃金水準の変化とその要因に関する調査】

5. 現経営者群のうち2-1.において「変化なし」または「役職のみ変化」に分類される者に対して「半年前と比較して、あなたの経営する事業所の賃金水準はどのように変化しましたか?」と尋ねたところ、前回調査と比較して、「上昇した」の割合は11.4%減少、「変わらない」の割合は9.2%増加、「下降した」の割合は2.1%増加した。

6. 現経営者群に「賃金水準の変化の要因はなんですか?(複数回答可)」と尋ねた。

6-1. 賃金水準上昇群では、各項目の選択率は以下のように変化した。

 

6-1. 賃金水準下降群では、各項目の選択率は以下のように変化した。

なお、「上昇した」は各設問における「大きく上昇した」「上昇した」という回答の合計を、「下降した」は各設問における「大きく下降した」「下降した」という回答の合計を意味する。

 

【(現経営者以外群)賃金水準/賃金の変化に関する調査】

7. 現経営者以外群に対して「半年前と比較して、あなたの賃金はどのように変化しましたか?」と尋ねたところ、前回調査と比較して、「増えた」の割合は6.1%減少、「変わらない」の割合は6.0%増加、「減った」の割合は0.1%増加した。

なお、「増えた」は設問における「非常に増えた」「増えた」という回答の合計を、「減った」は設問における「非常に減った」「減った」という回答の合計を意味する。

(現経営者以外群の賃金変化の要因については、賃金増加群・賃金減少群各々のサンプル数が少なく分析の信頼性が低いため、表示を控える。)

研究員

安齋 耀太

研究員

安齋 耀太

東京大学大学院博士課程 単位取得後満期退学。日本学術振興会 特別研究員(DC1)、Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg 客員研究員、神奈川工科大学および神奈川社会福祉専門学校 非常勤講師を歴任。2021年、(株)エス・エム・エスに入社。介護事業者向け事業の経営企画に携わりながら、高齢社会に関する統計調査の設計・実行・分析・発信に従事。社会調査士。

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