2020/11/10

新型コロナウイルスの影響によるICTの活用について

結果の概要

新型コロナウイルスの影響により、コミュニケーションを円滑に行うことを目的として以前より、3割の事業者でICTが活用される状況になった。
今後、電子署名による計画書の同意や利用者との契約の効率化を望む声が非常に多く、ICTによる業務効率化を図りたいと考えている事業所が大変多いことが分かった。

調査トピックス

  1. 新型コロナの影響により、ICTやIoTは約3割の事業所で以前より活用されるようになった。
  2. ICTやIoTの活用が増えた要因については、4割弱が在宅勤務が増えたことによるコミュニケーション手段として活用したためという回答であった。
  3. ICTやIoTの活用が増加した事業所においては、SNSの利用が6割弱と最も多かった。
  4. ICTやIoTの導入のハードルになっているのは、電話やFAXで用件が済んでしまうという回答が2割程度、学習の時間が取れないが次いで多い結果となった。
  5. 今後さらにICTやIoTを活用していきたいと考えている回答者に対し、今後活用していきたいと考えているICTやIoTツールはどのようなものがあるか質問したところ、電子署名による計画書の同意や契約が実施できることという回答が約7割に達するという結果であり、脱ハンコに期待を寄せていることが分かった。

調査概要

  • 調査名:新型コロナの影響によるICTの活用について(2020年8月実施)
  • 調査対象:カイポケリサーチ
  • 対象サービス種別:訪問介護、訪問看護、通所介護
  • 調査期間:2020年8月15日~8月25日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 有効回答数:323件
    訪問介護136件、訪問看護47件、通所介護140件
    経営者が192件と全回答の約60%

調査詳細

1.「新型コロナの影響により、ICTやIoTを活用する機会が増加しましたか」という質問に対し、「ICT活用はかなり進んだ(9.6%)」、「ICT活用はやや進んだ(21.1%)」という回答となっており、約3割の事業所で以前よりICTやIoTが活用されるようになった。

 

2.質問.1においてICT活用がかなり進んだ、ICT活用がやや進んだという回答者に対し、「なぜ新型コロナの影響によりICTやIoTを活用する機会が増加しましたか」と質問したところ、「在宅での勤務が増加したため、社内コミュニケーションの手段として活用するようになったため(37.4%)」が最も多い割合を占めており、次いで「利用者の利用控え等に対応するため、利用者とのコミュニケーションや状態観察の手段として活用するようになったため(19.2%)」、「他のサービス事業者とのカンファレンス等での活用(19.2%)」が続いており、コミュニケーションを円滑に行う手段としての活用が多くみられた。
※介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」以外のICTやIoTの活用について

 

3.質問.1において、「ICT活用はやや進んだ」、「ICT活用はかなり進んだ」と回答した回答者に対し、「利用機会が増えたICTやIoTツールはどのようなツールが多いですか」という質問では、「SNSツール(56.6%)」が最も多く、さらに「テレビ会議システム(30.3%)」を 活用する事業所も増加している傾向にあった。

 

4.「ICTやIoTの活用を進めるうえで最もハードルとなることはどのようなことか」の質問に対し、「FAXや電話で用件が済んでしまうことが多い(20.0%)」という回答が最も多く、次いで、「新たに導入するICT活用に際して学習する時間が取れない(18.9%)」、また「現状のスタッフがICT活用に抵抗があり導入ができないが(15.8%)」という結果になった。

 

5.今後さらにICTやIoTを活用していきたいと考えている回答者に「今後活用していきたいと考えているICTやIoTツールはどのようなものがあるか」という質問をしたところ、「契約や計画書の説明同意などに際して活用する電子署名システム(69.8%)」という回答が最も多く、全回答者のうち約7割が活用したいと考えている。次いで「モバイルやタブレットを活用した介護記録アプリ(52.9%)」となっており、SNSツール「46.4%」、「テレビ会議システム(37.8%)」の順で回答が多かった。印鑑による契約手続きや計画書の同意業務について、ICTを活用して業務改善をしたいと考えている事業所が多い結果となった。

 

研究員

松野 雄太

所長

松野 雄太

2003年大手在宅系介護事業会社入社。日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。 2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。

注目タグ