(続)介護現場の革新(生産性の向上)に関する調査
この記事は2021年7月10日にリリースした「介護現場の革新(生産性の向上)に関する調査」の続きとなります。
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新型コロナウイルスの影響により、コミュニケーションを円滑に行うことを目的として以前より、3割の事業者でICTが活用される状況になった。
今後、電子署名による計画書の同意や利用者との契約の効率化を望む声が非常に多く、ICTによる業務効率化を図りたいと考えている事業所が大変多いことが分かった。
1.「新型コロナの影響により、ICTやIoTを活用する機会が増加しましたか」という質問に対し、「ICT活用はかなり進んだ(9.6%)」、「ICT活用はやや進んだ(21.1%)」という回答となっており、約3割の事業所で以前よりICTやIoTが活用されるようになった。
2.質問.1においてICT活用がかなり進んだ、ICT活用がやや進んだという回答者に対し、「なぜ新型コロナの影響によりICTやIoTを活用する機会が増加しましたか」と質問したところ、「在宅での勤務が増加したため、社内コミュニケーションの手段として活用するようになったため(37.4%)」が最も多い割合を占めており、次いで「利用者の利用控え等に対応するため、利用者とのコミュニケーションや状態観察の手段として活用するようになったため(19.2%)」、「他のサービス事業者とのカンファレンス等での活用(19.2%)」が続いており、コミュニケーションを円滑に行う手段としての活用が多くみられた。
※介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」以外のICTやIoTの活用について
3.質問.1において、「ICT活用はやや進んだ」、「ICT活用はかなり進んだ」と回答した回答者に対し、「利用機会が増えたICTやIoTツールはどのようなツールが多いですか」という質問では、「SNSツール(56.6%)」が最も多く、さらに「テレビ会議システム(30.3%)」を 活用する事業所も増加している傾向にあった。
4.「ICTやIoTの活用を進めるうえで最もハードルとなることはどのようなことか」の質問に対し、「FAXや電話で用件が済んでしまうことが多い(20.0%)」という回答が最も多く、次いで、「新たに導入するICT活用に際して学習する時間が取れない(18.9%)」、また「現状のスタッフがICT活用に抵抗があり導入ができないが(15.8%)」という結果になった。
5.今後さらにICTやIoTを活用していきたいと考えている回答者に「今後活用していきたいと考えているICTやIoTツールはどのようなものがあるか」という質問をしたところ、「契約や計画書の説明同意などに際して活用する電子署名システム(69.8%)」という回答が最も多く、全回答者のうち約7割が活用したいと考えている。次いで「モバイルやタブレットを活用した介護記録アプリ(52.9%)」となっており、SNSツール「46.4%」、「テレビ会議システム(37.8%)」の順で回答が多かった。印鑑による契約手続きや計画書の同意業務について、ICTを活用して業務改善をしたいと考えている事業所が多い結果となった。
所長
2003年大手在宅系介護事業会社入社。日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。 2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。