
第2回ICT活用による業務効率化に関する調査
高齢社会ラボでは、2021年度介護報酬改定において「テクノロジーの活用による介護サービスの質の向上及び業務効率化」を推進していくことが確認されたことを受け、半年に一度ICTの活用がどのように進んでいるのかを調査すること
詳しく見る
2020年11月~12月にかけて介護事業所の賞与支給の実態調査を実施した。
賞与の支給がされている事業所の割合が約5割であった。一方で、約5割の事業所において賞与の支給がされていない状況であった。
賞与の支給がされている事業所の4分の3以上が昨年と同水準もしくは、昨年より支給額が増加という結果となっており、新型コロナウイルスによる経営への影響がある中、昨年と比較して支給額が減少している事業所は少ない傾向であった。
昨年と比較して賞与支給額が減少見込みという状況は、法改正等の影響による報酬単価下落の影響を受けて経営状況が悪化しているためという回答が最も多かった。
逆に、賞与支給額が増加見込みという状況は、経営状況がよく、賞与支給額を増加させることができたという回答が最も多かった。
経営状況を改善して賞与支給額を増大したいと考える事業所が多い傾向が伺えた。
1.「2020年1月~12月(見込み)において賞与の支給は予定されていますか」という質問に対し、「はい(51.6%)」となっており、約半数の介護事業所において賞与の支給がされている状況であったが、一方で約半数の介護事業所においては賞与の支給がされていないという結果になった。
2.「賞与の支給が予定されている場合、昨年と比較してどの程度の水準で支給、支給される予定ですか」という質問に対し、「昨年と同水準(56.9%)」、次いで「昨年より増加19.8%」となっており、賞与支給をしている事業所の4分の3以上で昨年と同水準もしくは増加という結果であった。
3.「賞与が減少見込みという水準に至った理由はどのような理由ですか」という質問に対し、「法改正等の影響による報酬単価下落の影響を受けて経営状況が悪化しているため(29.6%)」という回答が最も多く「新型コロナの影響により経営状況が悪化しており、支給が出来なくなった(25.9%)」が次いで多い結果であった。
新型コロナの影響より法改正等の単価下落の影響を受けている事業所の方が多い状況であった。
4.「賞与が増加見込みという水準に至った理由はどのような理由ですか」という質問に対し、「経営状況がよく、賞与支給額を増加させることができた(47.8%)」という回答が最も多く「処遇改善加算が増加し、一時金等としての支給額が増加したため(39.1%)」が次いで多い結果であった。
また、「助成金等の活用により、手元資金が増加したため(21.7%)」という回答もあることから助成金などの対策について一定の効果はみられる状況であった。
5.「賞与の支給が予定されていない場合、どのようなことが原因で支給されない、もしくはされない予定ですか」という質問に対し、「経営状況が良くないため、もともと支給していない(53.2%)」という回答が最も多く、半数以上の事業所が経営状況が良くないことを理由に賞与の支給ができない状況となっている。次いで「新型コロナの影響により経営状況が悪化しており、支給が出来なくなった(13.8%)」となっており、新型コロナの影響により支給が出来なくなったという回答はさほど多くはない状況であった。
6.「現在、賞与として従業員に支給している額、またはされている額は多いと考えますか」という質問に対し、「少ない(50.2%)」が最も多く、半数以上の事業所で賞与支給額が少ないと感じている状況となっている。
7.「現在、賞与として従業員に支給している額、またはされている額は多いと考えますか」という質問に対し、「普通」と回答した回答者に対し、「賞与支給額を増加していくためにはどのような対応が必要であると考えますか」という質問をしたところ、「多くの利用者にご利用頂き、経営状況を安定させる(63.8%)」という回答が最も多かった。次いで「介護報酬単価等の増加や加算の見直しを含め、介護保険制度の見直しを行っていく(33.0%)」、「人件費等を含め業務を効率化することで、支出を減らし、経営状況を安定させる(28.7%)」という結果となった。
8.「介護(看護)事業所における賞与支給額が増加することで、介護(看護)事業所で働く職員の定着につながる、または介護(看護)で働きたいと希望する求職者の数は増加すると思いますか」という質問に対し、「増加する(52.0%)」という回答が最も多く、次いで「どちらともいえない(39.1%)」という結果となった。
所長
2003年大手在宅系介護事業会社入社。日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。 2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。