2021/2/25

介護報酬改定に関する調査(居宅介護支援)

結果の概要

2021年4月の報酬改定では居宅介護支援において、質の向上や、ICTの活用による逓減性の適用要件の緩和などが実施されることになった。
ケアマネジャーにとって、今回の報酬改定の内容は期待される内容であるか、また、今後取り組むことができるかについてアンケートを実施した。
生活支援が包括的に提供されるような居宅サービス計画をすでに4割弱の事業所で立案しているにも関わらず、生活支援が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成することで、質の高いケアマネジメントにつながると回答した割合が1割と少なく、質の向上にはさほど影響ないという回答が多かった。
また、ICTの活用や事務職員の配置をしている事業所において逓減性の適用要件の緩和に伴い、減算なく44名まで利用者の担当ができることになるが、定期訪問の実施による負担の増加や、ケアマネジメント業務の質の担保ができるか不安があり、44名の利用者を担当出来ないという回答が6割になる結果となった。

 

調査トピックス

  1. 特定事業所加算を算定している事業所の割合は4割程度であった。
  2. 1割の事業所で、生活支援が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成することで、質の高いケアマネジメントにつながると考えている。
  3. 現在、生活支援が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成している事業所は4割弱であった。
  4. ケアプラン作成割合について利用者に説明を行うとともに、介護サービス情報公表制度において公表することについては5割弱が実施できると回答。
  5. ケアプランの作成割合の算出を手で集計することや、情報公表の際にかかる作業による業務負荷の増加を心配している声が多い状況であった。
  6. 現在ICTを活用している割合が2割弱となっており、ICTの活用をしていない事業所の割合が多かった。
  7. 逓減性の適用の要件が変更されることで、44名の担当が出来ると回答した事業所は2割弱で、6割弱の事業所ができないと回答。
  8. 44名の担当が出来ない理由としては、定期訪問の実施に時間がかかることや質が下がることを懸念しているという回答が多かった。

 

調査概要

  • 調査名:介護報酬改定に関する調査(居宅介護支援)(2021年1月実施)
  • 調査対象:ケアマネドットコム リサーチ
  • 対象サービス種別:居宅介護支援、地域包括支援センター、その他
  • 調査期間:2021年1月14日~1月28日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 有効回答数:623件
    居宅介護支援537件、地域包括支援センター39件、その他47件
    管理者が209件と全回答の約33.5%、介護支援専門員が192件と30.8%
    主任介護支援専門員が151件と24.2%

 

調査詳細

1.「現在特定事業所加算を算定していますか」という質問に対し「はい(42.4%)」、「いいえ(57.6%)」となっており、特定事業所加算算定事業所は4割を超えて回答している状況であった。

2.「生活支援が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成することで、質の高いケアマネジメントにつながると思いますか」という質問に対し「質の高いケアマネジメントにつながる(10.3%)」、「どちらともいえない(53.9%)」、「質の高いケアマネジメントにつながらない(35.8)」となっており、質の高いケアマネジメントにはつながらないという回答が多い傾向であった。

3.特定事業所加算を算定している事業所に対し「現在、生活支援が包括的に提供されるような居宅サービス計画は作成していますか」と質問したところ「している(37.1%)」、「どちらともいえない(48.9%)」、「していない(14.0%)」という回答結果であり、すでに生活支援を含めて居宅サービス計画を立案している事業所の割合が4割弱であった。

4.特定事業所加算を算定している事業所に対し「ケアプラン作成割合について利用者に説明を行うとともに、介護サービス情報公表制度において公表することを求めることになりましたが、この要件は実施ができると思いますか」と質問したところ、「実施ができる(45.1%)」が最も多く、半数近い事業所で実施ができるという回答であった。

5.設問4において、「どちらともいえない」、「できない」と回答した事業所に対し、「理由はどのような理由になりますか」と質問したところ「手で集計する際に数が多く、集計作業が困難に感じている(43.4%)」という回答が最も多く、次いで「情報公表制度における公表作業を行う時間がない(29.7%)」となっており、割合の算出を手で集計することや、情報公表の際にかかる作業による業務負荷の増加を心配しているという回答が多い状況であった。

6.「現在ICTの活用または事務員の配置はされていますか」という質問に対し、「ICTの活用をしている(17.3%)」、「事務職員の配置をしている(21.5%)」となっている一方、6割程度の事業所では現状ICT活用も事務職員の配置をしていない状況であった。今後ICTの活用についてさらに促進していく必要があることが分かった。

7.設問6において、「ICTの活用をしている」、「事務職員の配置をしている」と答えた事業所に対し、「逓減性の適用の要件が変更されることで、44名人の担当はできると思いますか」と質問したところ、「できる(16.5%)」、「どちらともいえない(26.9%)」、「できない(56.6%)」という回答となっており、6割弱の事業所において、ICTの活用、または事務職員の配置をしていても、利用者担当が増加することに対し、対応が難しいと考えている結果となった。

8.設問7において「できる」、「どちらともいえない」と回答した方に対し「どのようなところに課題がありますか」と質問したところ「定期訪問の実施に時間がかかり、44名も担当出来ない(56.2%)」、「質が下がることを懸念しており、44名も担当出来ない(43.8%)」、「サービス事業所との連絡調整に時間がかかり、44名も担当出来ない(30.5%)」が主な理由になった。利用者宅へ直接訪問する定期訪問や、担当利用者が増えることでケアマネジメント業務の質を担保という点に不安が大きい状況となった。

研究員

松野 雄太

所長

松野 雄太

2003年大手在宅系介護事業会社入社。日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。 2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。

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