
第2回ICT活用による業務効率化に関する調査
高齢社会ラボでは、2021年度介護報酬改定において「テクノロジーの活用による介護サービスの質の向上及び業務効率化」を推進していくことが確認されたことを受け、半年に一度ICTの活用がどのように進んでいるのかを調査すること
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2016年4月から2020年4月までの5年間において介護サービスの受給者数は、居宅サービスが最も増加している状況であった。地域密着型サービスについては通所介護の地域密着型通所介護への移行があったため、210.6%の増加となっているが、通所介護の移行分を除くと、地域密着型サービス全体の伸長率は101.8%とさほど増加していない状況になっている。サービス種別ごとに見ると、居宅サービスのうち居宅療養管理指導、訪問看護、訪問リハビリテーションなど医療と密接に連携が必要なサービス種別が増加している傾向になっている。
2016年4月から2020年4月までの5年間で居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービスともに受給者数は増加している。その中でも居宅サービスの受給者数の増加率が高く、居宅サービスを利用する利用者が増加している傾向にある。2021年4月の報酬改定においては見送りとなったが、今後、訪問介護や通所介護において、要介護1、2の利用者の総合事業への移行なども検討されており、居宅サービスから地域密着型サービスの内訳の変化などを含め介護サービス受給者をとらえ、介護事業者の事業展開などのあり方について検討していく必要がある。
また、地域密着型サービスにおいて、増加率の多かった複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護・短期利用以外)や、定期巡回・随時対応型訪問介護看護についても人員基準の緩和や加算の要件変更などについて2021年4月に予定されていることから、今後も注視していくことが必要となる。
1.居宅サービスの受給者数は2016年4月に2903.6千人であったが、2020年4月は3,137.0千人となっており、5年間で108.0%の増加率となっている。サービス種別ごとの増加率では、居宅療養管理指導(143.3%)、訪問看護(134.6%)、訪問リハビリテーション(122.8%)の順で増加している。
2020年4月のサービス種別ごと受給者数は、居宅介護支援2727.1千人、福祉用具貸与1,816.2千人、通所介護1,142.1千人、訪問介護1,016.0千人の順で利用されている。
※2017年4月の集計値から地域密着型通所介護が創設されたことにより、通所介護については、18名以下定員の事業所においては地域密着型通所介護で集計されている。
(単位:千人)
2.地域密着型サービスの受給者数は2016年4月に414.7千人であったが、2020年4月は873.2千人となっており、5年間で210.6%の増加率となっている。サービス種別ごとの増加率では、複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護・短期利用以外)(260.8%)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(208.7%)の順で増加している。
2020年4月のサービス種別ごと受給者数は、地域密着型通所介護401.9千人、認知症対応型共同生活介護(短期利用以外)208.3千人、小規模多機能型居宅介護(短期利用以外)100.9千人の順で利用されている。
(単位:千人)
3.施設サービスの受給者数は2016年4月に931.9千人であったが、2020年4月は965.8千人となっており、5年間で102.8%の伸長率となっている。サービス種別ごとの伸長率では、介護福祉施設サービス(105.9%)が伸長している一方介護療養施設サービス(51.1%)と減少している。2020年4月のサービス種別ごと受給者数では介護福祉施設サービスが556.9千人となっている。
(単位:千人)
所長
2003年大手在宅系介護事業会社入社。日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。 2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。