
(続)介護現場の革新(生産性の向上)に関する調査
この記事は2021年7月10日にリリースした「介護現場の革新(生産性の向上)に関する調査」の続きとなります。
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2021年4月の介護報酬改定により、科学的介護LIFE(CHASE・VISIT)の取組みについて実施することが求められることとなったが、介護事業所において、科学的介護の取組みについて実施する予定があるか。また科学的介護に期待していることについて調査を実施した。
科学的介護を活用した計画の作成やケアの質の向上の取組みを行う予定である事業所は約3割であった。
科学的介護を活用した取組みを実施しない理由は、制度の内容についてよくわかっていないが約7割を超える状況であった。
科学的介護を活用することで、利用者の状態改善につなげられるよう期待しているという回答が約4割であった。
1.2021年4月以降、「CHASE・VISIT を活用した計画の作成や事業所単位での PDCA サイクル の推進、ケアの質向上の取組みを行う予定はありますか」という質問に対し、「はい(27.3%)」、「いいえ(72.7%)」となっており、7割を超える事業所で取り組む予定はないという回答であった。
2.設問1で「いいえ」と回答した回答者に対し、「科学的介護の取組みについて実施しない理由はどのような理由ですか」という質問をしたところ「制度の内容についてよくわかっていないため(75.5%)」となっており、多くの事業所において、制度の内容がよくわかっておらず、具体的な取り組みについて実施しないという回答であった。
3.設問1において「はい」と回答した回答者に対し「科学的介護の取組みについて実施する理由はどのような理由ですか」と質問したところ「制度として科学的介護の取組みについて実施を求められているため(29.0%)」が最も多く、次いで「加算取得が可能となり、売上向上が見込めるため(25.0%)」、「利用者のADLや状態改善につながるため(19.6%)」という回答であった。
4.設問1において「はい」と回答した回答者に対し「科学的介護の取組みを進めるうえで現状の課題はありますか」と質問したところ 「データの入力ができるのか不安であり、入力に関する課題がある(52.0%)」、という回答が最も多く、次いで「データの活用についてのイメージができておらず、活用に関する理解、職員への指導が必要である(50.7%)」となっており、科学的介護に取り組むと回答した回答者の中でも半数以上の事業所が、データ入力や活用に不安がある状況であった。
5.通所介護、通所リハビリテーション事業所に対し、「2021年4月より科学的介護の取組みを行い、加算を取得する予定はありますか」と質問したところ「はい(40.0%)」、「いいえ(60.0%)」という回答になっており、約4割の事業所において科学的介護の取組みについて実施をし、加算取得を検討しているという状況であった。
6.「科学的介護の取組みによる加算取得については通所系、居住系、施設系が中心となりますが、今後はその他のサービス種別にも拡大していくべきだと思いますか」という質問に対し、「はい(67.3)」、「いいえ(32.7)」となっており、3分の2を超える多くの事業所において、加算対象サービス種別の範囲拡大について期待している状況であった。
7.設問6において、「はい」と回答した回答者に対し、「今後、科学的介護の取組みについて期待することはどのようなことですか」と質問したところ、「利用者の状態改善につなげることが出来る(39.5%)」という回答が最も多く、次いで、「医療と介護のデータを活用し、適切な介護サービス介入が出来る(21.6%)」、「データを活用することで、適切な介護計画の立案が出来る(19.5%)」となっており、利用者の状態改善につなげる点や介護サービスの内容への反映、また介護計画立案に活かせることに対し、期待をしているという回答が多かった。
所長
2003年大手在宅系介護事業会社入社。日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。 2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。