2022/3/20

介護サービス事業所の事業規模別給与費額と給与比率(在宅サービス編)

結果の概要

高齢社会ラボではこの度、介護サービスにおいてスケールメリットがどの程度・どのように作用しているのか(特に費用の大部分を占める給与比率にどのような効果をもたらすのか、それは職員の処遇改善につながっているのか)の把握を目的として、各介護サービスの事業規模別の給与費額と給与比率を調査しました。今回はその在宅系サービス編となります。
最も望ましい状態は、事業規模の拡大につれて、常勤換算1人当たり給与費は増加し、給与比率は低下している状態です。しかし、そのような傾向が見られたのは、在宅系サービスのうち、訪問介護・訪問入浴介護に限られていました。多くの在宅系サービスにおいて事業規模にかかわらず常勤換算1人当たり給与費・給与比率ともに一様に推移しており、特に人件費についてスケールメリットが効きにくく、事業拡大が給与に還元されにくい構造が明らかになりました。

 

調査概要

  • 調査名:介護サービス事業所の事業規模別給与費額と給与比率(在宅サービス編)
  • 出典:厚生労働省「令和2年度介護事業経営実態調査」表74,75,76,77,78,79

 

調査詳細

1. 訪問介護の延べ訪問回数階級別の常勤換算1人あたり給与費と給与比率を見たところ、延べ訪問回数が増えるにつれて、常勤換算1人あたり給与費は増加し、給与比率は低下する傾向が見られた。

 

2. 訪問入浴介護(予防を含む)の延べ訪問回数階級別の常勤換算1人あたり給与費と給与比率を見たところ、延べ訪問回数が増えるにつれて、常勤換算1人あたり給与費は増加し、給与比率は低下する傾向が見られた。

 

3. 訪問看護(予防を含む)の延べ訪問回数階級別の常勤換算1人あたり給与費と給与比率を見たところ、延べ訪問回数が増えても、常勤換算1人あたり給与費・給与比率ともにほぼ一定であるという傾向が見られた。

 

4. 訪問リハビリテーション(予防を含む)の延べ訪問回数階級別の常勤換算1人あたり給与費と給与比率を見たところ、延べ訪問回数が増えても、常勤換算1人あたり給与費・給与比率ともにほぼ一定であるという傾向が見られた。

 

5. 通所介護の延べ利用者数階級別の常勤換算1人あたり給与費と給与比率を見たところ、常勤換算1人あたり給与費は延べ利用者数が増えてもほぼ変化せず、給与比率は延べ利用者数が増えるにつれて低下する傾向が見られた。

 

6. 通所リハビリテーション(予防を含む)の延べ利用者数階級別の常勤換算1人あたり給与費と給与比率を見たところ、延べ利用者数が増えても、常勤換算1人あたり給与費・給与比率ともにほぼ一定であるという傾向が見られた。

研究員

安齋 耀太

研究員

安齋 耀太

東京大学大学院博士課程 単位取得後満期退学。日本学術振興会 特別研究員(DC1)、Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg 客員研究員、神奈川工科大学および神奈川社会福祉専門学校 非常勤講師を歴任。2021年、(株)エス・エム・エスに入社。介護事業者向け事業の経営企画に携わりながら、高齢社会に関する統計調査の設計・実行・分析・発信に従事。社会調査士。

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