2022/6/10

居宅介護支援事業所の特定事業所加算に関する調査

結果の概要

2021年4月の介護報酬改定では、居宅介護支援の特定事業所加算について、単位数や算定要件が変更されました。この加算の算定を阻む主な要因を明らかにするため、高齢社会ラボでは調査を実施しました。

今回の調査から、特に会議実施に関する要件(調査詳細5)、実習協力に関する要件(調査詳細13)、他法人と共同した事例検討会等の実施に関する要件(調査詳細14)の達成率が低いことがわかりました。

 

調査概要

  • 調査名:居宅介護支援事業所の特定事業所加算に関する調査(2022年4月実施)
  • 調査対象:カイポケリサーチ
  • 対象サービス種別:居宅介護支援
  • 調査期間:2022年4月26日~5月15日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 有効回答数:180件(※下記グラフのn数は有効回答数から「わからない」を除いた数である)

 

調査詳細

1. 「2022年4月の請求において特定事業所加算を算定しましたか?」という質問に対する回答は、「はい」が25.4%、「いいえ」が74.6%だった。

 

2. 「あなたの事業所に常勤かつ専従の主任介護支援専門員は何名いますか?」という質問に対する回答は、「0名」が19.8%、「1名」が61.0%、「2名以上」が19.2%だった。

 

3. 「あなたの事業所に常勤かつ専従の介護支援専門員は何名いますか?」という質問に対する回答は、「0名」が19.2%、「1名」が46.3%、「2名」が18.1%、「3名以上」が16.4%だった。

 

4. 「あなたの事業所に非常勤の介護支援専門員は常勤換算方法で何名いますか?」という質問に対する回答は、「0名」が72.6%、「0名より多く1名より少ない」が12.0%、「1名以上」が15.4%だった。

 

5. 「利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項に係る伝達等を目的とした会議を、おおむね週1回以上開催していること」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「はい」が46.5%で、「いいえ」が53.5%だった。

 

6. 「24時間連絡体制を確保し、かつ、必要に応じて利用者等の相談に対応する体制を確保していること」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「はい」が81.8%で、「いいえ」が18.2%だった。

 

7. 「月の利用者の総数のうち要介護3〜5である者の占める割合が4割以上であること」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「全く達成されていない」が最も多く(第1位、34.1%)、これに「ほとんど達成されていない」(第2位、27.5%)、「たまに達成されている」(第3位、16.2%)と続いた。

 

8. 「介護支援専門員に対して計画的に研修を実施していること」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「はい」が75.7%、「いいえ」が24.3%だった。

 

9. 「地域包括支援センターと連携し、支援が困難な事例にも居宅介護支援を提供できること」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「はい」が93.5%、「いいえ」が6.5%だった。

 

10. 「地域包括支援センター等が実施する事例検討会等に参加していること」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「はい」が83.8%、「いいえ」が16.2%だった。

 

11. 「居宅介護支援に係る運営基準減算又は特定事業所集中減算の適用を受けていないこと」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「はい」が97.2%、「いいえ」が2.8%だった。

 

12. 「利用者数が介護支援専門員1人当たり40名未満であること」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「はい」が82.9%、「いいえ」が17.1%だった。

 

13. 「利用者数が介護支援専門員1人当たり45名未満であること」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「はい」が93.2%、「いいえ」が6.8%だった。

 

14. 「『ケアマネジメントの基礎技術に関する実習』等に協力している又は協力体制を確保していること」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「はい」が55.9%、「いいえ」が44.1%だった。

 

15. 「他法人の居宅介護事業者と共同で事例検討会・研修会等を実施していること」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「はい」が58.7%、「いいえ」が41.3%だった。

 

16. 「必要に応じて、居宅サービス計画のなかに、多様な主体により包括的に提供される生活支援のサービスを位置づけていること」という条件を事業所が達成しているかを問う質問に対する回答は、「はい」が84.6%、「いいえ」が15.4%だった。

研究員

安齋 耀太

研究員

安齋 耀太

東京大学大学院博士課程 単位取得後満期退学。日本学術振興会 特別研究員(DC1)、Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg 客員研究員、神奈川工科大学および神奈川社会福祉専門学校 非常勤講師を歴任。2021年、(株)エス・エム・エスに入社。介護事業者向け事業の経営企画に携わりながら、高齢社会に関する統計調査の設計・実行・分析・発信に従事。社会調査士。

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