結果の概要

高齢社会ラボでは現在、「どのようにすればケアマネジメント・プロセスが適切に運用されている状態をつくることができるのか?」というテーマについて調査研究をおこなっています。これに関連して、ケアマネジメント・プロセスがどのように運用されているか、ケアマネジャーを対象としたアンケート調査を行うことにいたしました。今回はケアプラン〜モニタリング編となります。

ケアプランの作成においては、課題に対して目標とサービス内容を適切に設定することの実現が、低い頻度になっていました。サービス担当者会議については、栄養指導員・医師の参加頻度が低いことがわかりました。また、モニタリングにおいては、どの項目もほぼ遜色なく確認がなされていました。

 

調査概要

  • 調査名:介護の質の評価に関する調査(ケアプラン~モニタリング編)(2022年5月実施)
  • 調査方法:カイポケリサーチ(インターネット調査)
  • 対象サービス種別:居宅介護支援
  • 対象者:ケアマネジャー
  • 調査期間:2022年5月15日~6月15日
  • 有効回答数:132件

 

調査詳細

【ケアプラン】

1. ケアプラン作成時の考慮事項について実現の度合いを尋ねた。突出して「生活全般の解決すべき課題に対して、長期目標・短期目標・サービス内容を適切に設定する」という項目の実現の度合いが他と比較して低いことがわかった。

 

【サービス担当者会議】

2. 「サービス担当者会議は、必ず実施されていますか?」と尋ねたところ、「ほぼ必ず実施されている」という回答が約8割を占めた。

 

3. サービス担当者会議の参加者について、どの程度の頻度で参加しているのかを、「ほぼ毎回参加している」「たまに参加している」「ほとんど参加していない」「全く参加していない」の4段階で尋ねた。栄養指導員・医師の参加の頻度が他と比較して著しく低かった。

4. 「サービス担当者会議では、ケアプランの内容に関して適切な議論がおこなわれていますか?」と尋ねたところ、「ほぼ必ずおこなわれている」が65.2%、「たまにおこなわれている」が31.7%だった。

 

【モニタリング】

5. 「モニタリングに際して、モニタリングシートを毎回作成していますか?」と尋ねたところ、「ほぼ必ずおこなわれている」が85.6%だった。

6. モニタリング時の確認事項についてサービス担当者会議の参加者について、どの程度の頻度で確認しているのかを、「ほぼ毎回確認している」「たまに確認している」「ほとんど確認していない」「全く確認していない」の4段階で尋ねた。「提供されたサービスは利用者に良い影響を与えているか」を除いて、「ほぼ毎回確認している」という回答が9割を超えていた。

研究員

安齋 耀太

研究員

安齋 耀太

東京大学大学院博士課程 単位取得後満期退学。日本学術振興会 特別研究員(DC1)、Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg 客員研究員、神奈川工科大学および神奈川社会福祉専門学校 非常勤講師を歴任。2021年、(株)エス・エム・エスに入社。介護事業者向け事業の経営企画に携わりながら、高齢社会に関する統計調査の設計・実行・分析・発信に従事。社会調査士。

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