
(続)都道府県別・居宅サービスの推計従事者数
前月記事「都道府県別・居宅サービスの推計従事者数」において、2015年から2019年まで各年10月1日時点における都道府県別・居宅サービスの推計従事者数および都道府県別・対推計人口比居宅サービスの推計従事者数を調査した。
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過去退職をした理由において、最も回答が多かったのは職場の人間関係となっており、全体の5割程度を占めている。
人間関係を理由に、全回答者の3分の2については「1度は」介護の職場での退職を経験している。
介護の仕事の魅力を高めるためには仕事のやりがいが重要と考えられており、そのためにも、職場の人間関係をよりよくするために人材育成を最優先に取り組みたいと考えているものと推察される。
1.「これまで介護職場での経験の中で、退職を経験したことがあるか」という質問に対し、「はい(67.1%)」と回答する割合が全体の3分の2を占めている。
2.「退職をしたきっかけとしてどのような理由が多いか」という質問に対して、最も多い回答が「職場の人間関係に問題があったため(49.0%)」であり、次いで「法人や事業所の理念や運営のあり方に問題があったため(44.1%)」という結果であった。人間関係による問題や法人や事業所の理念や運営のあり方の問題から「独立するため(10.4%)」も一定数あることが伺えた。
3.「介護の仕事において魅力を感じる内容」に関する質問に対し、「仕事へのやりがいがある(69.8%)」が全回答の約7割近くを占める結果となっており、継続して仕事を続ける最大の原動力になっている。次いで「上司や同僚を含めた職場全体の人間関係が良いこと(47.8%)」となっており、質問.2の退職理由において「職場の人間関係の問題」が最も多い回答を得ていたことからも、職場内の人間関係は、介護の仕事の継続や魅力を感じる点において大きな要因となることがわかった。
4.「今後、介護の仕事を魅力的にするために現在国で考えられている施策のうち、どの要素が重要であると考えますか」という質問に対し、「人材育成(31.9%)」と回答する割合が最も多く、質問.2や質問.3 において、人間関係に関しては退職の要因になっている点や介護の仕事を魅力的に感じるために必要な要素としても回答割合が高かったことからも、やはり職場の人間関係を良好にできれば、より介護の仕事が魅力的になると考えている回答者が多いのではないかと推察される。
5.「介護の仕事を魅力的にする施策として重要であると選択した内容について、今後具体的な内容が事業所に展開されていくことで、継続して介護の仕事に従事できると考えますか」の質問に対して、「はい(96.9%)」と回答する事業所が大多数となっており、質問.4において、介護の仕事をより魅力的にする取組みとして、人材育成やICTを活用したペーパレス化、業務プロセスの見直しが多くの割合を占めていたことからも、これらの施策を実施していくことで、介護の仕事に継続して従事できる可能性が高まることが予想される。
所長
2003年大手在宅系介護事業会社入社。日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。 2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。