2020/11/10

新型コロナウイルスによる介護事業所の経営への影響

結果の概要

2020年8月末時点で新型コロナウイルスにより介護事業所の経営に影響が出ていると回答した事業所が7割程度となっており、特に売上減少等の経営に与える影響が大きい状況になっている。新型コロナに関連する補助金等の制度の活用において、非常に関心が高く、多くの事業者が期待を寄せている結果となった。

調査トピックス

  1. 新型コロナの影響により、最も大変だったことは、マスクや衛生用品等の物品の入手、次いで利用者の利用控えとなった。
  2. これまでにご利用者が陽性/濃厚接触、感染が疑われて対応が必要となった事業所は2割程度であった。
  3. 新型コロナ感染予防の観点から自主休業をこれまで実施したことがある事業所は1割程度であり比較的多くはなかった。
  4. 休業した期間は1週間程度が約5割を超えており最も多く、比較的短期間の休業であった。
  5. 8月末現在においても利用者の利用控えは5割を超えた事業所で発生している状況。
  6. 利用控えについては全稼働のうち2割以内であるという事業所が全体のうち8割を占める。
  7. 利用者の利用控えによって、利用者の状態の悪化や家族の介護負担の増大による利用者への影響ついて懸念している声が多くあがった。
  8. 現在取り組んでいる感染予防対策について教えてくださいという質問に対し、手指消毒、マスクの着用、手洗い、うがいが割合として多く、ほぼ全ての事業所で取り組まれている。
  9. 新型コロナに関連した補助金等の制度はすでに利用している事業所が3割弱となった。また、関心があり、今後活用予定の事業所が4割を超えており多くの事業所が期待を寄せている。
  10. 主に活用した補助金等の制度ではマスクの受取が8割を超えており、介護職員慰労金が5割を超える結果となっており、比較的多くの事業所で活用もしくは活用の検討がされている。
  11. 新型コロナが経営に与える影響が大きいとしているのは約7割の事業所にのぼっている。
  12. 特に大きな影響として売上の減少をあげている事業所の割合が7割を超えており非常に多い状況。

 

調査概要

  • 調査名:介護事業所経営に与える新型コロナの影響(2020年8月実施)
  • 調査対象:カイポケリサーチ
  • 対象サービス種別:訪問介護、訪問看護、通所介護
  • 調査期間:2020年8月15日~8月25日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 有効回答数:356件
    訪問介護146件、訪問看護53件、通所介護157件
    経営者が215件と全回答の約60%

調査詳細

1.「これまで新型コロナ感染症対策で最も大変だったことは何ですか」という質問に対し、「マスクや衛生用品等の物品の入手(55.1%)」、次いで「利用者の利用控え(16.9%)」となっており、この2つの回答でもっとも大変だったこととして7割以上を占めている。

 

2.「これまでにご利用者が陽性/濃厚接触、感染が疑われて対応が必要となったことはありますか」という質問に対し、「はい(20.5%)」、「いいえ(79.5%)」と約8割は「いいえ」と答えている。

 

3.「新型コロナ感染予防の観点から自主休業をこれまで実施したことはありますか」という質問に対し、「はい(9.6%)」となっており、自主休業をした事業所は全体の1割弱とさほど自主休業はしていない状況が伺える。

 

4.「休業等を行った期間はどの程度ですか」という質問に対し「1日~1週間(52.9%)」、次いで「1週間~2週間(23.5%)」となっており、比較的短期間の休業で再開できたものと思われる。

 

5.「新型コロナ感染リスク等の影響により現在も利用控えが起こっていますか」という質問については、「はい(55.3%)」となっており、利用控えが継続して発生していると状況が伺える。

 

6.「2020年1月頃と比較して8月時点でどの程度の割合で利用控えが起こっているか」という質問に対して、「1割程度(58.4%)」となっており、次いで「2割程度(24.9%)」となっている。

 

7.「利用者の利用控えによってどのような点において影響が出ていると感じますか」という質問に対し最も多かったのは、「身体機能、ADLの低下(69.0%)」で、次いで、利用者の「認知機能の低下(54.3%)」、「社会参加ができないことによる引きこもり傾向(49.2%)」、「家族の介護負担の増大による利用者への影響(44.7%)」と続いている。利用者の状態の悪化や家族の介護負担の増大による利用者への影響について懸念している声が多く上がっている状況となった。

 

8.「現在取り組んでいる感染予防対策について教えてください」という質問に対し、「手指消毒(97.8%)」、「マスクの着用(97.2%)」、「手洗い、うがい(96.3%)」が割合として多い状況で9割以上の事業所で取り組んでいる状況。「スタンダードプリコーションに沿った感染予防対策(25.0%)」となっており、今後さらなる周知を行う必要があると考えられる。

 

9.「これまで新型コロナに関連した補助金等の制度を活用したことはありますか」という質問に対し、「すでに活用している(29.1%)」、「関心があり、今後活用する予定(43.3%)」という回答状況であり、多くの事業者が関心を寄せている状況となった。一方で、「関心はあるが、活用する方法が分からない(23.9%)」という回答もあり、より申請等に関する内容の分かりやすさや簡素化も求められる状況であった。

 

10.「これまでに利用した、利用する予定の新型コロナに関連した補助金等の制度はどのような内容になりますか」という質問に対し、「マスクの配布・受取(84.9%)」がもっとも多く、次いで「介護施設・事業所に勤務する職員に対する慰労金の支給(53.5%)」となった。また「介護サービス事業所等におけるかかり増し経費支援(27.5%)」については、3 割に近い事業所で活用、もしくは活用を検討されている。

 

11.「新型コロナによる介護事業所への影響についてどのように感じていますか」という質問に対し、「影響は大きい(69.9%)」と回答があり、約7割の事業所に大きな影響を与えている状況。

 

12.質問11.で影響が大きいと回答した事業所に対し「どのような影響があると考えますか」という質問に対しては、「売上減少等経営に関する影響が大きい(71.5%)」が最多回答となっており、経営に与える影響が大きいと感じている事業所が多い。

 

研究員

松野 雄太

所長

松野 雄太

2003年大手在宅系介護事業会社入社。日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。 2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。

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