介護現場の革新(生産性の向上)に関する調査
高齢社会ラボでは、2021年度介護報酬改定において「介護現場の革新」が喫緊・重要な課題として掲げられたことを受け、半年に一度、介護現場の革新がどのように進んでいるのかを調査することといたしました。今回はその第1回調査となります。
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(この記事は2021年7月10日にリリースした「介護現場の革新(生産性の向上)に関する調査」の続きとなります。調査の背景などはそちらをご参照ください)
現・経営者も現・経営者以外も、約8割が職場環境に満足していることがわかった。また、現・経営者も現・経営者以外も、約8割がこの半年間で職場環境が改善したと回答した。
現・経営者にとって職場環境が良くなった要因として最も回答の多かったものは「業務量の変化」であり、職場環境が悪くなった要因として最も回答の多かったものも「業務量の変化」だった。
現・経営者以外にとって職場環境が良くなった要因として最も回答の多かったものは「プライベートにおける心理的ストレスの変化」であり、職場環境が悪くなった要因として最も回答の多かったものは「職場の人間(上司・同僚・部下など)の変化」だった。
調査名:介護現場の革新(生産性の向上)に関する繰り返し調査(2021年2月実施)
調査対象:カイポケリサーチ
対象サービス種別:居宅介護支援、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション
調査期間:2021年5月15日~6月10日
調査方法:インターネット調査
有効回答数:389件
うち、経営者:231件と全回答の59.3%
(再掲)1. 「あなたの現在の役職・役割はなんですか?」(「経営者」「経営者以外」のいずれか1つを選択)という設問において、「経営者」と回答した者を「現・経営者」群(n=282)、「経営者以外」と回答した者を「現・経営者以外」群(n=107)と分けた。
(再掲)2. 仕事上の変化によって回答者群を設定した。
(再掲)3. なお、以下の設問のうち半年前から現在までの変化を問うものについては、すべて「半年前に現在と異なる仕事や役割に就いていた場合には、半年前に就いていた仕事や役割における賃金と現在の賃金を比較して、ご回答ください。」という条件をつけている。
4. 「現・経営者」群(n=282)に対して「現在、あなたは職場環境に満足していますか?」と尋ねたところ、8割強がポジティブな回答を示した。(下のグラフでは、選択肢のうち「非常に満足している」「満足している」「どちらかといえば満足している」を「はい」として、「どちらかといえば満足していない」「満足していない」「非常に満足していない」を「いいえ」としてまとめている。)
5. 「現・経営者」群のうち「仕事上の変化なし」群に属する者(n=219)に対して「半年前と比較して、職場環境はあなたにとってどのように変化しましたか?」と尋ねたところ、8割弱が「良くなった」と回答した。(ただし、選択肢のうち「非常に良くなった」「良くなった」「どちらかといえば良くなった」を「良くなった」として、「非常に悪くなった」「悪くなった」「どちらかといえば悪くなった」を「悪くなった」としてまとめている。)
6.「現・経営者」群かつ「仕事上の変化なし」群のうち、5. に記した設問において「非常に良くなった」「良くなった」「どちらかといえば良くなった」と回答した者(n=171)に対して「職場環境の変化の要因はなんですか?(複数回答可)」と尋ねたところ、「業務量が変わった」を選択した者が最も多く(1位、24.0%)、「職員の人間(上司・同僚・部下)が変わった」 (2位、20.5%)と「職場の経営状況が変わった」(3位、17.0%)がそれに次いだ。
7. 「現・経営者」群かつ「仕事上の変化なし」群のうち、5. に記した設問において「非常に悪くなった」「悪くなった」「どちらかといえば悪くなった」と回答した者(n=48)に対して「職場環境の変化の要因はなんですか?(複数回答可)」と尋ねたところ、「業務量が変わった」を選択した者が最も多く(1位、33.0%)、「利用者が変わった」(2位、27.1%)と「職場の経営状況が変わった」(3位、16.7%)がそれに次いだ。
8. 「現・経営者以外」群(n=107)に対して「現在、あなたは職場環境に満足していますか?」と尋ねたところ、約8割がポジティブな回答を示した。(下のグラフでは、選択肢のうち「非常に満足している」「満足している」「どちらかといえば満足している」を「はい」として、「どちらかといえば満足していない」「満足していない」「非常に満足していない」を「いいえ」としてまとめている。)
9. 「現・経営者以外」群のうち「仕事上の変化なし」群に属する者(n=75)に対して「半年前と比較して、職場環境はあなたにとってどのように変化しましたか?」と尋ねたところ、8割弱が「良くなった」と回答した。(ただし、選択肢のうち「非常に良くなった」「良くなった」「どちらかといえば良くなった」を「良くなった」として、「非常に悪くなった」「悪くなった」「どちらかといえば悪くなった」を「悪くなった」としてまとめている。)
10. 「現・経営者以外」群かつ「仕事上の変化なし」群のうち、9. に記した設問において「非常に良くなった」「良くなった」「どちらかといえば良くなった」と回答した者(n=58)に対して「職場環境の変化の要因はなんですか?(複数回答可)」と尋ねたところ、「プライベートにおける心理的ストレスが変わった」を選択した者が最も多く(1位、27.6%)、「業務量が変わった」「職場の人間(上司・同僚・部下など)が変わった」(2位タイ、20.7%)がそれに次いだ。
11. 「現・経営者以外」群かつ「仕事上の変化なし」群のうち、9. に記した設問において「非常に悪くなった」「悪くなった」「どちらかといえば悪くなった」と回答した者(n=17)に対して「職場環境の変化の要因はなんですか?(複数回答可)」と尋ねたところ、「職場の人間(上司・同僚・部下など)が変わった」「利用者が変わった」を選択した者が最も多かった(1位タイ、23.5%)。
研究員
東京大学大学院博士課程 単位取得後満期退学。日本学術振興会 特別研究員(DC1)、Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg 客員研究員、神奈川工科大学および神奈川社会福祉専門学校 非常勤講師を歴任。2021年、(株)エス・エム・エスに入社。介護事業者向け事業の経営企画に携わりながら、高齢社会に関する統計調査の設計・実行・分析・発信に従事。社会調査士。