介護の質の評価に関するインタビュー調査
「どのようにすればケアマネジメント・プロセスが適切に運用されている状態をつくることができるのか?」に関する調査研究の一環として、東洋大学・高野龍昭准教授の監修を受け、ケアマネジャーを対象としたアンケート調査およびインタビュー調査を行いました。
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今回、高齢社会ラボは、ケアマネジャーの方々がどこに価値を置きながらご自身の業務に取り組んでいるかについて調査しました。
介護サービスの利用者がより良いサービスを受けるためには、サービス事業所とケアマネジャーの連携が必要不可欠です。今回の調査から、サービス事業所とケアマネジャーが良好な関係性を築くためには、少なくともケアマネジャーの立場から見ると、利用者の正確な情報の共有が求められていることが明らかになりました。
1. 「アセスメント/ケアプランの作成/サービス担当者会議/モニタリング/給付管理」というケアマネジャーの役割について、それぞれどの程度重要だと考えているかを1~5の5段階で尋ねたところ、「アセスメント」のスコアが最も高かった。
2. 「利用者の家族との連絡・調整/サービス事業所との連絡・調整/医療機関との連絡・調整」というケアマネジャーの役割について、それぞれどの程度重要だと考えているかを1~5の5段階で尋ねたところ、スコアの高い順に「利用者の家族との連絡・調整」>「サービス事業所との連絡・調整」>「医療機関との連絡・調整」となった。
3. 「利用者にとって良いケアプランを作成すること/介護保険の給付を抑制すること」というケアマネジャーの役割について、それぞれどの程度重要だと考えているかを1~5の5段階で尋ねたところ、前者のスコアが後者のスコアを上回る結果となった。
4. ケアプランを作成する際に考慮されるであろういくつかの要素について、それぞれそれぞれどの程度重要だと考えているかを1~5の5段階で尋ねたところ、最もスコアの高かった項目は「利用者の状態を鑑みて適切な内容になっていること」(4.2)であり、これに「必要なサービス種別を選択すること」(4.1)、「利用者の希望に適っている内容になっていること」(3.8)が続いた。
5. サービス事業所を選定する際に考慮されるであろういくつかの要素について、それぞれそれぞれどの程度重要だと考えているかを1~5の5段階で尋ねたところ、最もスコアの高かった項目は「正確に利用者のことを把握していること」(4.5)であり、これに「迅速に対応してくれること」(4.4)、「事業所内の情報共有がしっかりなされていること」(4.2)が続いた。
6. サービス事業所が行うケアマネジャーとの関係性向上を目的としたいくつかの活動について、ケアマネジャーの立場からそれぞれどの程度重要だと考えているかを1~5の5段階で尋ねたところ、最もスコアの高かった項目は「利用者の情報を共有すること」(4.4)であり、これに「サービス担当者会議に参加すること」「頻繁に連絡を取り合うこと」(ともに3.6)が続いた。
7. 「サービス事業者との会議について、対面とオンラインのどちらが望ましいですか?」と尋ねたところ、半数強が「対面のみ可」または「対面の方が望ましい」と回答し、「オンラインの方が望ましい」という回答は約5%に留まった。
8. 「サービス事業者のおこなうケアマネジャーへの営業活動について、対面とオンラインのどちらが望ましいですか?」と尋ねたところ、半数弱が「対面のみ可」または「対面の方が望ましい」と回答し、「オンラインの方が望ましい」「オンラインのみ可」という回答は2割弱に留まった。
研究員
東京大学大学院博士課程 単位取得後満期退学。日本学術振興会 特別研究員(DC1)、Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg 客員研究員、神奈川工科大学および神奈川社会福祉専門学校 非常勤講師を歴任。2021年、(株)エス・エム・エスに入社。介護事業者向け事業の経営企画に携わりながら、高齢社会に関する統計調査の設計・実行・分析・発信に従事。社会調査士。