2022/9/10

第3回ICT活用による業務効率化に関する調査

結果の概要

高齢社会ラボでは、2021年度介護報酬改定において「テクノロジーの活用による介護サービスの質の向上及び業務効率化」を推進していくことが確認されたことを受け、半年に一度ICTの活用がどのように進んでいるのかを調査することといたしました。今回は第3回となります。

業務上利用されているICTの構成については、各回を通じて大きく変わらない結果となりました。また、ICT活用の進展については、各回を通じて鈍化してきている傾向が現れています。

 

調査概要

  • 調査名:ICT活用による業務効率化に関する調査
    • 第1回調査:2021年7月実施(調査期間:2021年7月15日~8月10日)
    • 第2回調査:2022年1月実施(調査期間:2022年1月15日~2月10日)
    • 第3回調査:2022年7月実施(調査期間:2022年7月15日~8月10日)
  • 調査方法:カイポケリサーチ(カイポケ会員を対象とするインターネット調査)
  • 対象サービス種別:居宅介護支援、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション
  • 有効回答数
    • 第1回調査:267件
    • 第2回調査:334件
    • 第3回調査:324件

 

調査詳細

1. 「以下のICT(情報通信技術)のうち、現在業務上で利用しているものを選択してください」という設問に対する回答は、各回を通じて同様の傾向が見られ、上位群・中位群・下位群に分かれることがわかった。

  • 上位群にはスマートフォン・FAX・ノートパソコン・タブレット・電子メールが属する。
  • 中位群にはデスクトップパソコン・オンライン会議ツール・職員間のコミュニケーションツールが属する。
  • 下位群には利用者またはその家族とのコミュニケーションツール・クラウドストレージ・クラウド会計ソフト・スケジュール共有ソフト・ガラケー・電子署名ツールが属する。

 

2. 「以下のICT(情報通信技術)のうち、この半年の間に業務上の利用を始めたものを選択してください」という設問に対する第3回調査の回答は、「該当するものはない」という回答を除いて、「オンライン会議ツール」が最も多く(16.4%)、それに「職員間のコミュニケーションツール」(14.2%)、「スマートフォン」(ともに13.0%)が続いた。

なお、第1回調査には「該当するものはない」という項目がなく、有意義に比較することができないため、第2回以降の調査結果を示している。

3. 「以下のICT(情報通信技術)のうち、今後利用したいと考えているものを選択してください」という設問に対する第3回調査の回答は、「該当するものはない」という回答を除いて、上位群と下位群に分けられることがわかった。上位群には、「電子署名ツール」「利用者またはその家族とのコミュニケーションツール」「職員間のコミュニケーションツール」「オンライン会議ツール」「スケジュール共有ツール」が属する。

なお、第1回調査には「該当するものはない」という項目がなく、有意義に比較することができないため、第2回以降の調査結果を示している。

4. 「あなたの事業所でICT(情報通信技術)が十分に活用されていると思いますか?」という設問に対する回答は、各回を通じて同様の傾向を示しており、2割程度が「活用されていると思う」、4割強が「どちらかといえば活用されていると思う」、3割弱が「どちらかといえば活用されていないと思う」、1割程度が「活用されていないと思う」という回答だった。

 

5. 「あなたの事業所ではこの半年間でICT(情報通信技術)の活用が進んだと思いますか?」という設問に対する回答は、各回を通じて否定的な意見の割合が増加する傾向にある。第3回調査では「進んだと思う」が14.8%、「どちらかといえば進んだと思う」が34.0%、「どちらかといえば進んでいないと思う」が28.7%、「進んでいないと思う」が22.5%だった。

 

6. 「あなたの事業所において、これまでICT(情報通信技術)活用が進んだことによってもたらされたと感じている効果を選択してください。」という設問に対する回答は、各回を通じて順位に大きな変動がなく、上位3項目は「残業時間の減少」「移動にかかる時間の減少」「精神的なストレスの減少」だった。

7. 「あなたの事業所において、これからICT(情報通信技術)活用が進むことによってもたらされるだろうと感じている効果を選択してください。」という設問に対する回答では、各回を通じて、「残業時間の減少」および「介護サービスの質の向上」の選択率が低下していた。

研究員

安齋 耀太

研究員

安齋 耀太

東京大学大学院博士課程 単位取得後満期退学。日本学術振興会 特別研究員(DC1)、Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg 客員研究員、神奈川工科大学および神奈川社会福祉専門学校 非常勤講師を歴任。2021年、(株)エス・エム・エスに入社。介護事業者向け事業の経営企画に携わりながら、高齢社会に関する統計調査の設計・実行・分析・発信に従事。社会調査士。

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