2022/2/28

(続)第2回介護現場の革新(生産性向上)に関する調査

結果の概要

先月公開した記事に続いて、「第2回介護現場の革新(生産性向上)に関する調査」における「職場環境の満足度とその変化に関する調査」の結果について示します。
経営者・非経営者ともに、半年前の前回調査と比較して職場環境の満足度が低下している傾向が見られました。
他方で、経営者・非経営者ともに、この半年間で職場環境が悪くなったという回答者は特に増えておらず、良くなったという回答者が減っていました。

 

調査概要

「第2回介護現場の革新(生産性向上)に関する調査」(2022年1月10日公開記事)に同じ

  • 調査名:第2回介護現場の革新(生産性向上)に関する調査(2021年11月実施)
  • 調査対象:カイポケリサーチ
  • 対象サービス種別:居宅介護支援、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション
  • 調査期間:2021年11月15日~12月10日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 有効回答数:351件

 

調査詳細

【職場環境の満足度とその変化に関する調査】

12. 現経営者群に対して「現在、あなたは職場環境に満足していますか?」と尋ねたところ、前回調査と比べて、「非常に満足している」「満足している」「どちらかといえば満足している」が合わせて6.8%減少し、その分「どちらかといえば満足していない」「満足していない」「非常に満足していない」が増加していた。

 

13. 現経営者以外群に対して「現在、あなたは職場環境に満足していますか?」と尋ねたところ、前回調査と比べて「非常に満足している」が25.2%から17.9%へと大きく減少し、「どちらかといえば満足している」が28.0%から33.7%へと大きく増加していた。

 

14. 現経営者群のうち仕事上の変化が「変化なし」または「役職のみ変化」である者に対して「半年前と比較して、職場環境はあなたにとってどのように変化しましたか?」と尋ねたところ、前回調査と比べて「良くなった」という回答が33.3%から24.7%に減少し、「変わらない」という回答が64.3%から73.6%に増加していた。(注1、注2)

 

15. 現経営者以外群のうち仕事上の変化が「変化なし」または「役職のみ変化」である者に対して「半年前と比較して、職場環境はあなたにとってどのように変化しましたか?」と尋ねたところ、前回調査と比べて「良くなった」という回答が33.3%から14.1%に減少し、「変わらない」という回答が63.3%から83.3%に増加していた。(注1、注2)

 

16. 現経営者群であり仕事上の変化が「変化なし」または「役職のみ変化」である者のうち14.において「良くなった」という回答を示した者に対して「職場環境の変化の要因は何ですか?」と尋ねたところ、「職場の人間(上司・同僚・部下など)が変わった」「職場の雰囲気が変わった」という選択肢は前回調査・今回調査ともに20%台という高い選択率を維持していた。対して、「業務量が変わった」という選択肢は前回調査では約1/4の選択率だったのに対して、今回調査では約1割に留まった。(注3)

 

17. 現経営者以外群であり仕事上の変化が「変化なし」または「役職のみ変化」である者のうち15.において「良くなった」という回答を示した者に対して「職場環境の変化の要因は何ですか?」と尋ねたところ、「職場の人間(上司・同僚・部下など)が変わった」という選択肢は前回調査・今回調査ともに30%台という高い選択率を維持していた。対して、「プライベートにおける心理的ストレスが変わった(育児や身内の介護にかかるものを除く)」という選択肢は前回調査では約1/3の選択率だったのに対して、今回調査では0%だった。(注3)

 

注1:仕事上の変化に関する「変化なし」または「役職のみ変化」のカテゴリーについては、前回記事の2.を参照してほしい。

注2:前回調査は「非常に良くなった」「良くなった」「どちらかといえば良くなった」「どちらかといえば悪くなった」「悪くなった」「非常に悪くなった」という6段階からの選択だったが、アンケート回答者の声を受けて今回調査から「変わらない」という選択肢を追加し7段階からの選択としている。前回調査における「どちらかといえば良くなった」「どちらかといえば悪くなった」という回答の多くが今回調査では「変わらない」という回答に移ると考えられるため、14. 及び15.のグラフにおいては「非常に良くなった」「良くなった」を合算して「良くなった」という回答として、「どちらかといえば良くなった」「変わらない」「どちらかといえば悪くなった」を合算して「変わらない」という回答として、「悪くなった」「非常に悪くなった」を合算して「悪くなった」という回答として表示している。

注3:現経営者群(または現経営者以外群)に属し、仕事上の変化が「変化なし」または「役職のみ変化」である者のうち、14.(または15.)において「悪くなった」という回答を示した者に対しても「職場環境の変化の要因は何ですか?」と尋ねているが、この結果についてはサンプル数が不十分であるため表示しない。

研究員

安齋 耀太

研究員

安齋 耀太

東京大学大学院博士課程 単位取得後満期退学。日本学術振興会 特別研究員(DC1)、Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg 客員研究員、神奈川工科大学および神奈川社会福祉専門学校 非常勤講師を歴任。2021年、(株)エス・エム・エスに入社。介護事業者向け事業の経営企画に携わりながら、高齢社会に関する統計調査の設計・実行・分析・発信に従事。社会調査士。

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