2021/11/20

都道府県別・要介護認定者数の増加率(2015-2019年)

結果の概要

先月公開した「都道府県別要介護・要支援認定者数」という記事では、最新2019年のデータから、都道府県別の要介護・要支援認定者数の傾向を明らかにした。今回の記事では、要介護認定者数に絞り、2015年から2019年にかけての増加傾向について都道府県別に明らかにする。
特筆すべきは、2015年から2019年にかけてほとんどの都道府県が要介護認定者数を増やすなか、唯一和歌山県と鳥取県はその数をわずかに減らしていたことである。和歌山県は、近畿地方の他府県と比較して明確に増加率が低く、特に2016-2017年、2017-2018、2018-2019年の変化は増加率がマイナスであった。
対して、埼玉県は他の都道府県と比較して明確に増加率が高く、調査対象期間のなかでは前年比4%前後の増加率を見せた。

 

調査概要

  • 調査名:都道府県別・要介護認定者数の増加率(2015-2019年)
  • 出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告」(年報)表番号04-1-1T

 

調査詳細

1. 2015年~2019年における要介護認定者数の増加率を都道府県別に示す。ほとんどの都道府県において増加率がプラスだった。そのなかで唯一、和歌山県と鳥取県の増加率がマイナスになっていた(ともに-0.4%)。増加率の高い都道府県をみると、埼玉県(1位、16.9%)、千葉県(2位、14.0%)、大阪府(3位、11.8%)、神奈川県(4位、11.6%)、奈良県(5位、11.4%)だった。

 

 

以下、都道府県別に前年比増加率を見ていく。

 

2. 北海道・東北地方
山形県の2018-2019年の変化を除いて、全県・全期間で増加率がプラスになっている。特に、北海道・宮城県の増加率が高い。

 

 

3. 関東地方
全都県・全期間で増加率が1%より大きくなっている。特に、埼玉県・千葉県は期間を通じて前年比3%以上という高い水準で推移している。

 

 

4. 中部地方
新潟県と長野県の2017-2018年、山梨県の2018-2019年の変化を除いて、全県・全期間で増加率がプラスになっている。特に愛知県が期間を通じて前年比2~3%という高い水準で推移している。

 

 

5. 近畿地方
和歌山県を除いて、全府県・全期間で増加率がプラスになっている。和歌山県は、他府県と比較して著しく低い増加率となっており、特に2016-2017年、2017-2018、2018-2019年の変化は増加率がマイナスである。

 

6, 中国・四国地方
各県の増加率が概ね-1%~2%の幅で推移しており、全体的に他の地域に比べて低い値で推移している見えることがわかる。特に鳥取県の2017-2018年と島根県の2018-2019年の増加率は、-1%未満という低い値をとっている。

 

7. 九州・沖縄地方
佐賀県の2017-2018年、長崎県の2018-2019年の変化を除いて、全県・全期間で増加率がプラスになっている。特に沖縄県の増加率は2%弱~4%という高い値で推移している。

研究員

安齋 耀太

研究員

安齋 耀太

東京大学大学院博士課程 単位取得後満期退学。日本学術振興会 特別研究員(DC1)、Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg 客員研究員、神奈川工科大学および神奈川社会福祉専門学校 非常勤講師を歴任。2021年、(株)エス・エム・エスに入社。介護事業者向け事業の経営企画に携わりながら、高齢社会に関する統計調査の設計・実行・分析・発信に従事。社会調査士。

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